今日、お花屋さんへ足を運んだ。沢山の鮮やかな色を持つお花や植物達に囲まれながらビニールハウスの中に置かれているレースラベンダーをみつけた。ラベンダーにも色々な種類があって、レースラベンダーはまるで葉の部分がレースのようだから名付けられたらしい。一つ一つの茎や葉がそれぞれ違っていて、まるで人間みたいだと思いながらそっと手に取り購入した。

帰り道の途中、ラベンダーのお花から微かに穏やかで優しい香りがして深い呼吸をした。その時気づいたのは昨今の感染病によりマスクをする生活が増え、いつのまにかゆっくりと、静かに息を吐いて吸うことを忘れて生活することが当たり前になってしまっていたことである。私は今、植物になった。

ふわんふわんと、優しい香りに包まれながらお庭のどこに埋めようかと配置を決める。ここかな?そこかな?あそこかな?頭で考えそうになった時に、ラベンダーをみつめる。ああ、このラベンダーはここが似合う。教えてくれたのはお花だと思う。優しくラベンダーの根元を支えながら、ポットから静かに、土がこぼれないようラベンダーを取り出す。土を触ると不思議な気持ちになる。小さな頃は沢山触って、指先が汚れても平気だったのが大人になるにつれて土を触ることがなくなってしまった。それは多分、新しいメディアやSNSや華やかでおしゃれで手も汚れない場所が可愛くておしゃれで素敵と感じていたからかもしれない。まさか大人になってからお庭にいて、ラベンダーを手に持ち土に触れる日が来るなんて思ってもいなかったと考えながら銀色の少しくすんだショベルで地面を掘る。すると、石ころが出てきた。ああ、地面の中には石もあるのだ。もう少し掘る。今度は小さな三つ葉のクローバーの根が出てきた。お休みのところごめんなさい、少しお引越ししましょうと他の場所へそっと下ろす。土を掘りながらさまざまな出会いがありつつようやく穴を掘り終え、茎が折れないよう、そっとラベンダーを植える。
また息を深く吸って吐く。わたしは今日も生きている。
そんな満足した気持ちを抱えてお庭のラベンダーに、また明日と挨拶をして今日もまた1日が終わる。夕日が眩しい。